正直なところ、銀猫自身がお金の勉強を始めて一番「おいおい正気か?」と思ったトピックでした。

保険って必要でしょ。万一の備えでしょ?掛けるのが普通でしょ??

そう、保険は必要なもの。しかし、世の中には過剰な保険やぼったくり保険が沢山あるのです。
「保険は大人のたしなみ」と言われますが、それをただ鵜呑みにしてはいけません。過剰・不要を取り除いた「保険の最適化」が本来の大人のたしなみだと銀猫は考えます
保険は本来、人生が破綻しかねないリスクに対して必要最低限で備えるものです。公的保険では不足する分を補う使い方をする事で、月数万円の節約につながる可能性があります!
- 保険の必要/不用の判断基準がわかります。
- 具体例で不要な保険をお伝えします。
- 保険の最適化を通して固定費を大きく節約できます。
「保険は大人のたしなみ」に隠された罠
本来、保険は大切なものです。「可能性は低いけれど、実際に起きると人生が破綻する」という大リスクに対して備えるのに必須と言えます。
交通事故で億の賠償を背負う、家が火事になって住むところが無くなる、そういったリスクは保険で備えるべきです。
しかし保険には不安を煽り、公的保険で備えられているリスクに過剰な保障を付けさせるもの。言葉巧みに割の悪い投資信託じみた契約をさせるものなども溢れています。

セールス
「保険は大人のたしなみ、一人前になったからには保険もしっかり入らないとですね!貯蓄型なら退職金代わりにもなりますよ!」
若かりし頃の銀猫に保険を売ったセールスマンの言葉です。

うまく乗せられ、つい昨年までの十数年。うまうまと利益を吸われてしまったのが我が家であります。悔しい……!!
その他にも他社含め数契約。たっぷり利益を献上してしまいました。同じ轍を踏む方が少しでも減るように、別記事で詳細をまとめたいと思います。(本記事では後ほど、我が家がいくら節約できたかを公表します。)
「必要分だけ入る保険」と「心配だから入る保険」
基本的には生活習慣で健康を保ち、資産形成で急な出費に備え、カバーしきれない大リスクのみ、掛け捨て保険で備えるのが良いとされています。これが、必要分だけ保険に入るという考え方です。

銀猫は持病持ちですので、健康に関してはあまり偉そうなことを言えないのが辛いところです……
これに対して「心配だから入る保険」とは何でしょうか。
例えば「日本人の半分がガンになります。若い内から備えないと。」など、不安を煽る営業トークを聞いたことはありませんか?
実は、国民全員が健康保険で非常に手厚く守られているのはご存知でしょうか。ガンに限らず適用される高額療養費制度がどんなものか、治療には平均的にいくらくらい必要なのか、若いときの罹患率はどうなのか。
もろもろ加味した上で、今契約している保険が過剰ではないかを吟味する機会を持ちましょう。負担が軽くなり、備えは更に厚くできるかも知れませんよ。
「必要な保険」と「不要な保険」
必要な保険とは
具体的には必要な保障額が設定された、安い掛け捨ての保険です。
- 生命保険(万一の際に生活が立ちゆかなくなる心配がある家族がいる場合)
- 住宅の火災保険
- 車に乗るなら自賠責と対人・対物無制限の任意保険(ただし車両保険は不要)
- 自転車に乗る場合は個人賠償責任保険

生活が立ちゆかなくなる損害に対して、公的保険を加味した上での不足額を計算して掛けるのが基本となります。
①生命保険
一家の大黒柱が亡くなった時、残された家族の生活が資産と遺族年金で賄えないことが予想される場合は必要額の保障が付いた掛け捨て生命保険で備えるのが良いでしょう。
お子さんが独立していて奥さんは専業主婦(就労は可能)であるなら、生活水準は別として生活そのものは破綻しないため、保険ではなく貯蓄と投資で備えるのが良いと判断できます。
②火災保険
住むところを火災で失った場合、たちどころに生活が困窮しかねません。
火災以外の家財道具についても保障が付いているものもあり、持ち家・戸建てでオススメも変化します。

リベ大様ではこちらのサイトでの比較をオススメされていますね!
③自賠責・対人・対物無制限の任意保険
加入が義務である自賠責
は言わずもがな、自己の賠償額が億に届くこともあるため、任意保険も車に乗る方には必須の保険です。必ず対人・対物無制限のものに加入しましょう。
一方で車両保険は不要です。例えば十数万円程度の修理なら、保険を使って下がった等級の差額で結局支払うことになるため使う意味がありません。

結局使いづらい。掛け金が高い。おまけに車の修理費は生活を破綻させる事はない。すなわち、不要という判断になります。
例えば、もし買ったばかりの新車が全損して350万円のお金が必要になったら?と考えてみましょう。
当然、非常に手痛い損失には間違いありません。しかし人生が破綻するかと言えば、さすがにそこまでの金額ではない。逆に350万円で破綻の危険があるのであれば、その値段帯の車は買うべきではないとも言えます。
車がなくなって生活が困るのを避けるという意味ならば、車両保険分を現金貯蓄しておいて中継ぎで安い中古車を買う足しにすると良いでしょう。

1年目に全損事故というレアケースに遭遇しても、生活自体は破綻しない。ということは車両保険に加入する意義は薄いといわざるを得ませんね。
交通インフラが充実している都会であれば別ですが、車そのものは必要な消費。車の新しさとグレードは心を豊かにするための浪費部分。この割合を自分の中で考えた上で「浪費部分に割の悪い保険をかけるか」を見つめ直すとこれまでと違った視点が見えてくるのではないでしょうか。
④個人賠償責任保険
自転車などで事故を起こしたとき、相手が大怪我をした場合などで活躍する保険です。必要性としては自動車の任意保険と同じですね。
他の保険やクレジットカードに付帯している事も多いため、重複しないようにチェックしてみて下さいね。
不用な保険とは
満期でお金が戻ってきたり、保障が過剰だったり、割高な保険のことです。
- 保障部分以外でお金が戻ってくるもの
- 返戻金有りの生命保険、外貨建て変額保険、養老保険、学資保険などなど。
- 保障が過剰なもの
- 医療保険、ガン保険など
- 保険料が割に合わないもの
- 民間の介護保険、地震保険など
①保障部分以外でお金が戻ってくる保険
まず、保障部分(けが・病気・死亡・交通事故など)以外でお金が戻ってくる保険は軒並み不用です。
- 返戻金有りの保険(貯蓄型、終身など)
- 外貨建て保険/変額保険
- 養老保険
- 学資保険
お金が戻ってくる系の保険の中身は「薄い保障の掛け捨て保険+ぼったくり投信」の組み合わせです。
その掛け金、掛け捨て保険にしておいて差額を運用していたらいくらになっていましたか……?

記事前半でお話ししたとおり、銀猫自身これで十数年間延々と利益を搾り取られ続けていました。あまりに苦い体験ですので、別途コラムでまとめる予定でおります。

荒々の計算ですが、銀猫が加入していた終身保険と同額の保障をつけた掛け捨て生命保険+S&P500へのインデックス投資を行っていた場合は、昨年解約したときの返戻金より130万円近くも増えていた可能性が高いです。コラムを書く際に実際の価額で試算してみると悔しさが倍増するかもしれませんね……。
リストの中の学資保険に違和感を覚えた方もおられるかも知れません。学資保険は返戻率が悪く、早期に積み立てておくならその分を運用した方がよほど効率が良くなります。親が早期に亡くなるリスクの分は、掛け捨て生命保険の保障額を決める際に含めて考えれば問題なく解決できます。
②保障が過剰なもの(医療保険・ガン保険)
健康保険が十分に充実しているため、過剰です。掛け金分を運用していた方がよほど備えになります。

思い返せば、過去の銀猫にも考える部分はあったのです。例えば自分の入院で下りた保険金。例えば妻の出産時に下りた保険金。

……あれ?これ実は今までの掛け金額の方が高いのでは…?と。
実際のところ、多額の治療費で生活が破綻して……というのは物語やドラマの演出イメージが強すぎるのかなと思います。
と言うのも、日本人全員が加入している健康保険には高額療養費という神制度があるのです。
1カ月の医療費合計が何百万円掛かろうと、一家族の合計支払額は一定(ほとんどの家庭で8万円ちょっと。月額報酬50万円みたいな高収入世帯なら上限15万円ほど)に収めてくれるスゴい制度です。寝間着などの細かい雑費は別途かかりますが……。
おまけに、高額療養費を年4回以上(月が空いていても)使った場合は4回目以降の上限額が安くなる多数該当という制度もあるのです。
標準報酬月額28万〜50万円の方の場合
- 1カ月目…上限額80,100円
- 2カ月目…上限額80,100円
- 3カ月目…上限額80,100円
- 4カ月目…上限額44,400円
- 以降は1年以内に3回の適用が続く限りずっと上限額44,400円
※1~3カ月目は厳密には80,100円+(総医療費-267,000円)×1%ですが、例としては細かすぎるので簡略化しています。
例えばガンになってしまったとき。
ガン治療の平均入院日数は約20日と言われます。月をまたいだとしても、2か月。一般の方であれば約16万円+雑費ですね。
そのほか、1度の継続治療年数は平均2.4年という数値もあります。毎月高額療養費制度を利用する必要があった場合でも多数該当が適用されるため、雑費を除けば約140万円あれば当面の費用を賄う事ができるということになります。
また、国立がん研究センターのデータによるとガンの生涯罹患率は男性で約66%、女性で約50%だそうです。よく言われる「国民の2人に1人はガンになる。」それ自体は間違っていないようです。

しかし、ここに年齢の要素を加味すると全く違った景色が見えてきます。
例えば30歳男性の罹患率は0.3%、女性は0.5%です。この段階では「1000人に3~5人はガンになる。」というリスク。罹患率が20%を超えるのは男女ともに70歳になってからです。
例えば30歳男性が価格ドットコムで1位だったH社の終身ガン保険標準プラン(月額2,210円)に加入し、70歳までの40年間のどこかでガンになるケースを考えてみましょう。

シチュエーションはパンフレットに記載されていた
- 人間ドックがきっかけで、初めて直腸がんと診断される。
- 入院し手術を受けた後、6カ月抗がん剤治療を受ける。
- その後、肝臓への転移が発見され、18カ月抗がん剤治療を継続する。
という形で考えましょう。この場合の給付金は標準プランで350万円、ガンの確定診断後は掛け金が免除されるそうです。
治療費はどちらの場合も同額掛かりますので割愛し、単純に備えの厚さと確率の比較をします。罹患率のデータは公益財団法人 がん研究振興財団様の「がんの統計 2024」よりお借りしました。
- 40歳でガンになった場合
- 納付済み保険料は265,200円
- 保障額は350万円(差益約323.5万円)
- 掛金を7%で積立運用していたら約38万円
- 罹患率は1.2%
- 50歳でガンになった場合
- 納付済み保険料は530,400円
- 保障額は350万円(差益約297万円)
- 掛金を7%で積立運用していたら約115万円
- 罹患率は2.8%
- 60歳でガンになった場合
- 納付済み保険料は795,600円
- 保障額は350万円(差益約270万円)
- 掛金を7%で積立運用していたら約270万円
- 罹患率は7.7%
- 70歳でガンになった場合
- 納付済み保険料は1,060,800円
- 保障額は350万円(差益約244万円)
- 掛金を7%で積立運用していたら約580万円
- 罹患率は21.4%
節目ごとに状況を並べましたが、罹患率7.7%(10人中1人以下)の60歳時点で保険のプラスは無くなります。罹患率が急に上がるのは60代→70代。ここまで来ると約5人に1人がガンになる確率ですが、投資していた場合の想定益が2倍以上になっていますね。

リスクが上がる歳までに保険会社が利益を取り切る構造になっているのかな……?と思うほど、60歳で切りよくプラマイゼロになりましたね。
ガンになる確率が上がる歳には損をしており、若い頃に保険金が下りる事態になる確率はかなり低い。そして、高額療養費制度や傷病手当金などの公的制度のバックアップ。ガン保険の割に合わない度合いが伝わるでしょうか。もちろん、他の医療保険も理屈は同じです。
③保険料が割に合わないもの(民間の介護保険・地震保険)
民間の介護保険と地震保険は、それぞれ別のコスパの悪さがあります。
まず介護保険は、成り立ちとして民間企業ではまともな物を作ることができない事情があります。多くの人が老後に介護が必要になる関係上、多数の加入者が少数の請求者(保険事故に遭った人)を支えるという保険の基本バランスが成り立たないのです。
それでも民間企業が保険として成立させるならば保険料を高額にするしかなく、結果コスパの悪い保険になってしまう……という訳ですね。
次に地震保険ですが、シチュエーションとしては必要なはずなのに保障が足りない。結果として加入に値するケースが極端に少ない。という結論です。
- 保障額上限が火災保険の半分しかない
- 算定時に経年劣化分を差し引いた時価で計算される
- 適用判定が全損(100%)、大半損(60%)、小半損(30%)、一部損(5%)とあるが判定は非常に厳しく全損判定はほとんど取れない

東日本震災でも、判定の多くは一部損だったとか……
このような理由から、これらも資産形成での対応が良いと考えられます。
「保険の最適化」こそが真の大人のたしなみ【公的保険を知る・不要な民間保険を解約する・余裕を資産形成に回す】
- 現在、自分がどんな公的保険に守られているのかを確認する。
- 自分が契約している保険を点検する。
- お金が戻ってくる系の保険と過剰な保険は解約を検討する。
- 浮いたお金は資産形成に回す。
- 貯蓄と投資、どんな割合にするかは皆さんのリスク許容度と目的に合わせて分配しましょう。

我が家の場合、見直しの結果終身生命保険と医療保険・ガン保険を解約しました。結果的には月に23,000円近く節約する事ができ、投資資金に回しています。
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